君はふらんすへ行け
――浅草明子氏に
いつからか
君は背中に目玉をつけていたな
人は誰でも頭の隅に少年の日を持っている
新聞紙の型紙の黄色い帽子の野球小僧
スポーツ刈の流行
立小便で日が暮れて
何年か振りで君に会ったとき
君は君だったからびっくりした
僕は僕でなかったから
やる奴はやってる
やらぬ奴はやってない
そのあたりまえのことの中で
見えないものが勝負だから
僕は君に
負けたと何回も思い知らされたぜ
君はふらんすへ行け
僕はここに残る
いや残るというのは正確ではない
残るという意志などなく
ただどこにも行くところがなくて
四畳半にヒネモス寝っ転がって
時計を見ているだけだから
もともと僕は無口なほうだが
君の前ではさらに口無しになり
空が青いといいきれるほどのはっきりとした
理由のある『だから』ではないけれど
だから君はふらんすへ行け
あの「あまりに遠い」国へ
むっしゅーとまだむとまどもあぜると
こまんたらぶーの国へ
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