たしかに僕はそこにいた

入学式は土曜の夜だったから
泊まるところは決まってなくとも安心だった
オールナイトでも見ればと思ったのだ
田中君杉田君服部君鈴木さん板倉さんに見送られ
12:36の新幹線で大阪へ向かった
大阪ははじめてだった
当然親戚も友人もいないのだったでも
若かったから心は細くならなかった
ケセラセラと歌っていたのだ
入学案内の地図を頼りに
本日開店のパチンコ屋の多い
全国で一番長いという天神橋筋商店街をくぐりぬけ
高校のような校舎を見つけるのに
それほど手間はかからなかった
幸先の良いスタートだ
始め良ければ真ん中も終わりも良いに決まってると
たかをくくってたがはゆるみだしていた
それからどこでも同じの期待に背かぬつまらぬ入学式が終わり
さあてと帰路に着いた時
どや?と声を水のように掛けられたのだ水泳やらんかと
やったことないですとこたえたのだった
かまへんかまへんとこたえてくるのだった
肩を叩かれながら部屋へ連れていかれると
ヨッパライが三人くらいいて
呑めや喰えやというものだから
呑んで喰ったのだった
泥酔した
我をなくした
便器に顔突っ込んでこの世のすべてを吐きだしたこと以外は
朝起きた時何も覚えていないのだった
とにかく我もどこかになくしていたのだから
知らない人が隣に寝ていた
誰だろうと思った
そしてここはどこだろう?
まったく身に覚えのないことだった
でも心配なんか蟻粒ほどもしなかったのだ
たしかに僕はここにいたのだから


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