ふと見た時に気づいた。
親指の創傷。
のような春。

訪れる時はうつろなものだが。
訪れてからは明らかに春。

春は仕合わせ。
たった4つの季節のなかで。
春ほど歓迎されるものはない。

春はすべてのものに風を贈る。

タンポポは偏在し。
タンポポは遍在する。
桜錯乱。
ちょうちょの歌では。
なのはなはなのは。
どこからともないことはなく。
公衆便所の臭い。

春はすべてのものに雨をもたらす。

雨は色がないので。
屋根や道に色をつける。
雨を嫌う人の感性をうたがい。
1年中雨ならば。
都会の頭痛もすこしはおさまるだろう。
水たまりはいつも。
同じ場所にできるものだが。

春はすべてのものに夏を運ぶ。

6月がほほえむ頃に。
みどりの空から夏は匂い。
空はいつも他人だったと。
見上げるぼくらの力の無い足元に。
うずくまる。
今年の春も去年の春。

春は仕合わせ。
たった4つの季節のなかで。
春ほど忘れさられるものはない。



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