靴下
いつからあるのか知らないけれど
誰もが一度は目を止めてみるけれど
不幸なことに
頭の隅に記憶させるには
あまりに生活の臭いがする
画鋲で壁に貼られ
お辞儀している鼠色の靴下
卑屈な姿勢のようでいて
しかも密かな自己主張
誰かが忘れて
親切な三助が人目を引こうとしたのだろうけど
惜しいかな
帰り道は裸足が多い
君を置き去りにしたご主人も裸足で帰ったことだろう
それから何日かして右足だけを鼠色にして
ひたすら君を捜索したのだでもついに
君の足はつかなかったから
主人は帰りにセブンイレブンへ行かなければと思う
日が暮れて仕事が終わってセブンイレブンへ行くのも忘れてまたここへやって来て
何の気なしに君が目に入ってしまった時
主人は負けたと観念しただろう
自動ドアが開いた時
番台の大型テレビで巨人は完敗
あなた変わりはないですかと
有線までも流れてる
近代的設備を誇る銭湯に
いつからあるのか知らないけれど
いつまであるかもわからないけれど
幸せなことに
誰もがみんな
忘れ物をしたことなど忘れてる!
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