臨時工
1. 目的は・・・・
当然不正なる
履歴書の山も積もれば塵となり
契約は束になって駅前の花屋で売られ
条件より手当より生活がかかっていた
おお利潤は労働者の喉元からうるおわせよ
目的はひとまず金だ
いや二まずも十っくらいまで
だってあの頃君は食うよりも寝る場所で
髭は無精にも芽吹きだして花が咲き
髪は不吉にも艶光りして発光し
いわば世紀末的ファッションモデル
すれちがう人は皆振り返り
また正面向き直してから声噛み殺して忍び笑い
たまに舌噛み切ってしまう大胆不敵な奴もいたが
誓っていおう正面向き直してからだった
そんなものだ皆自分が大事
そんなものだから自転車漕いで花屋へいって
自動車組立臨時工4ヶ月3交替勤務日給7200円以上寮有保険完備歴持細面
そろそろ運も向いてくるぞと
スピード写真がつぶやいて
伊藤の住所を書いたのだ
2. 突発
突発だ突破だ突発だと班長がいうから俺は
食券もらってうどんを食いにいく
予定された残業でも
ここでは突発というんだその威勢のいい言葉の響きと裏腹に
俺の足取りは重く
ラインは永遠につづくでも
金ほしいもんなぁ
やること別にないもんなぁ
帰って蒲団を敷いて寝るほかには
3. 朝
夜勤明けの朝の
ショートホープ4本の帰り道
俺は疲れたから俺の太陽は
不断の1000倍もまぶしい
生活のリズムと体がロンパリだ
昼勤から夜勤への変わりめは特に
昼働いて夜眠り朝起きてまたすぐ眠れだなんて
1日の終わりは夜なのか朝なのかそれとも
1日は永遠に続くものなのか
はじまりもなく
4. 社会に貢献
社会に貢献とか
人のためにつくすとか
夢思うなかれ君
そんなこといってる奴の家に限って
塀が高い
奴らもはじめからそんなこと夢にも思っちゃいなかった
結果としてそうなったのだ
塀が高くなったから
5. 自己都合
おばあちゃんは健在だったので
おじいちゃんを危篤にして
臨時工やめた
こんなことは人にいえることではない
健康な臆病者め!
6. 近藤さん
近藤さんは臨時工のベテランだ
近藤さんは3ヶ月働くと2ヶ月失業保険でふらふら
近藤さんは日本中を回ったんだって
近藤さんは朝4時にリュック背負って銀座を歩いて
近藤さんは深呼吸したらサイコオだったよって
近藤さんは静かな眼で笑った
近藤さんは話したのはそれくらいで
近藤さんは僕が逃げるようにやめてったから
近藤さんはびっくりしただろうか
近藤さんはよくあることだったろう
近藤さんは顔も忘れてしまったけど
近藤さんはどこかできっと会えるだろう
近藤さんは朝4時にいるから
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